震えるな瞳凝らせよ

 連日放送で物凄い勢いで溜まっていた「伝説巨神イデオン」を物凄い勢いで消化。
 いやー、凄いね黒富野。
 モエラの死亡フラグの立ちっぷりが実に見事(ぉ)。

 とまぁ冗談はさておき、
 自分は流石にリアルタイム世代からは外れる物で、ちょい前に劇場版を見てから気になっていて、今回漸くTV版も押さえる事が出来た。大分昔、学生時代に地方局で再放送をやっていた際は、主要メンバーの罵声の浴びせ合いが余りにも辛辣で10話も見ずに挫けてしまったのだけれど、今思えば実に勿体無い事をしたと思う。「皆殺しの富野」等の悪いイメージばかりが先行しがちの作品だけれど、やはり悪趣味なだけで此処まで高い評価を得られるはずもなく。表現は過激でこそあれ、内容の本筋は至って真っ直ぐな物だったのだなと。
 特にこの時期の作品で感心するのはキャラクターの行動原理。先に述べた罵声の様に確かに余りにも生々しくはあっても、その芯は実に真っ当な物。勿論、誰も彼も自分の事しか考えていない者ばかりではあるのだけれど、それは個々人の保身的心理の成せる業。悪意を伴う攻撃性といった物はさして感じられず、状況・立場的に理解し得る範囲。絶対的悪意とでもいうのかな、少なくとも自分にはそういう生理的嫌悪感を伴う物は感じられず、案外すっきりと受け容れられた。皆必死に生きているだけなのですよ。ここは主人公コスモの「殺し合いが好きな奴が、いるもんか」の涙に色濃く表れていると思う。彼の心理的成長は実に目覚ましい。
 まぁ、当時、当面のターゲット層であった低年齢層には余りにも刺激の強い、理解の範囲を超える作品であった事は事実。ただ昨今の、殺し合いをエンターテインメントに仕立てた様な身も蓋もない作品群に比べれば、心理的影響面では余程真っ当という気がするんだけどね。
 結局当時も打ち切りになってしまった様だけれど、劇場版で復活したのは実に幸い。
 むしろ、子供向け以外のマーケットが出来上がっている昨今こそ、こういう物が存分に放映出来る土壌が出来て然るべきだと思うのだけどなぁ。

この顔がたまらんなぁ
 因みに、今作、OPが妙に気に入っておりましたyoutube。普段タイトルを連呼する類のOPを好かない自分にしては珍しい方。それこそ連続消化だから歌なんてすっ飛ばして時間節約するべき所を、何故か無性に見たがったくらい。
 ここは歌の聴きやすさ半分、絵の効果半分かなぁ。Cメカのイデオバスターへの変形を見て「オートモーフ」等とおバカ反応(笑)。普段の変形バンクでは玩具よろしく順繰りパーツが動いていく所を、同時可動でスムーズに形状変化する様が実に印象深く、成る程オートモーフの感慨はこういったアニメ的格好良さに根差すの物なのだなと、今の今まで表に出てこなかったのが不思議なくらいに思えてきた。