さて、何のかんのでアニメ版「ぼくらの」終了ですよ。
監督ブログも無事というか相変わらずの調子で復活したようで。結果的にはそれで済んだけど、無闇な燃料投下の要因以上の物には成り得ないのだから、ああいうのは今後自粛して欲しいよなぁ。お互いに。
さておき、
とっくに見限ったとは言いつつも、解釈の違いが今後原作を楽しむ上での何かしらの材料になるかと見続けてしまっていた。まぁ予想の遙か下を突っ走るオリジナル展開には唖然としたけど、最終的には至極無難な終わり方という感じ。「ベタなのが好き」という監督本人の言い分通りではある。
それに何より、監督が描きたいキャラとそうでないキャラの差が露骨だったね。中でも比較的評判の良いダイチ編と、(原作が未解決なのを良い事に)性格の酷さを全面的に書き変えたウシロ兄妹編。特にラストのダイチ一家再登場は、原作で良くも悪くも有耶無耶だった「残された家族」視点でのフォローかと。成る程なぁと改めて思った。
この辺、予備知識無しに見ていれば、途中のグダグダはあったものの「地味に切ない話?」くらいではあったのかなと思う。それで気になれば原作買うし、良くも悪くも宣伝というか、まんまですな。
そもそも一人頭1話か2話かという点で案の定無理が祟っていたのだから、思い切って頭数を減らして一人2,3話にしとけばもう少し作り易くもあったろうに。キャラも変えてしまうなり何なり。実際にキャラを一部差し替えてパラレル展開している小説版の方がまだ良い評判を聞く(買うだけ買ってまだ読んでませんが)。そういった采配が採れていれば皆幸せになれたのかなぁと思うとそれこそ切なくなるね(笑)。
というか中盤の超展開&ウシロの物凄い更正っぷりに正直もうすっかりどうでもよくなっちゃってて、最終話は兄貴の服に付いた枯れ葉を取る妹とか、教室に駆け込む時の靴を脱ぎ捨てる所だとか、そういう細かいアニメーションにばかり目が行っていた(笑)。こういう気配りがキャラクター像を作り上げるのだという点も含めて、なかなか良かったと思う所。まぁ同じように台詞の端々にも気を遣えよ、とは思うけれど。アニメーターは頑張ったけど脚本がプーでした、という半ば伝統的パターンか、、、。
因みに最後なので、個人的観点での原作の旨味などをば。
やはりメインとなるのは中二病と揶揄される様な子供視点の思考展開。如何にも子供が考えそうな発想をネチネチと描く話は現役中二病患者の自分としては妙にグサグサと来て面白い。まぁ冗談(?)はおいといても、この一種病的な描写の上手さは鬼頭莫宏の味かと思う。
そしてそのベースとなる形でのストーリー設定。それ単体は何か最近妙に見掛ける気もしなくもないパラレルワールドネタなんだけど、これを巡る話のルールが徐々に明かされていく課程と、その上に乗るキャラクターの心理との掛け合わせの妙がまた一つのポイント。
何も知らされぬまま純粋に地球を守るヒーローとしての力を与えられた一人目と、その選民思想的発想に溺れる二人目。そして基本ルールを明かされ「強制的な自己犠牲」を迫られた三人目。と言った風に、その当時ごとの環境設定とその影響を受けて行動するキャラクターのエピソードの掛け合わせ方が実に巧み(だから安易な順番替えを嫌う人間も出る訳で)。
こういった全体構成の上手さに少々ショッキングな展開が組み合わさってこその妙なカルト人気かとは思う。安直にストーリー展開や切ない感傷話だけを拾えばそりゃ失敗するし、叩かれもしますがな。
ま、思い返せば、昔からゴロゴロしてる原作劣化モノの一種でしかなかった訳で。
「蟲師」等の良アニメ化の所為でそういう感覚がちょっと弱っていたというか、油断してた。
始まる前にも書いたけど、自分は普段は「映像モノ→原作」が普通だから、その逆パターンの珍しさについ反応してしまったと言いますか。
そんな訳で、次なる原作レイプは「もっけ」です。
こっちはもう始まる前から葬式です。
いやぁ、PVにしろ宣伝文句にしろ何もかも終わりすぎ、、。作者も諦めてるっぽい。
原作が結構地味にクリティカルヒットしてただけに、これもショックでかそうですわ。
ま、また始まってから。