「超人機メタルダー」、終了。
いやぁ面白かった。
正直、終盤の「これぞ打ち切り番組」と言わんばかりの怒濤のやっつけ展開に唖然としてすっかり意気消沈しまくっていたのだけれども、最後の最後は良い感じに盛り返して終わってくれた。それもこれも、当初は37話で終了だったものにスケジュールの都合で2話追加を求められた事で、逆に余裕が生まれて押さえる所をキッチリ押さえて終わらせる事が出来た、というのが不幸中の幸いだったのだと思う。戦闘ロボット軍団長バルスキーは如何にもこの番組らしい最期を遂げる事が出来たし、ラスボスたるネロス帝王も最後まできっちり悪の帝王らしく振る舞ってくれた。
戦闘ロボット軍団に関しては、以前に冗談半分・照れ隠し半分で書いてみた「物凄い拡大解釈」が実は本当にその通りであったという脚本が、「やはりやってくれた」という感じで非常に嬉しい。今の世から見ればベタな演出論法と取られなくもないけれど、此処はやはりそれまでの積み重ねが物を言うところだとは思う。第2話で戦いに破れ廃棄処分を命じられた部下を「責任は私が取る」と修理させ、11話では脱走という重罪を犯してしまった老兵に英雄的特攻という死に場所を与え、尚かつその行為を持ってして、彼を庇わずには居られなかった部隊員に恩赦を与えるという。こういった軍団長としての采配があればこそ、最後まで操り人形としての道を選んだ彼の切なる想いが伝わってくるというものなのですよ。っつか戦闘ロボットだろお前等(笑)。
ここがこの番組の実に面白いところで、悪役軍団の人間味溢れる描写の数々、当初からエンジン全開だったこのインパクトは非常に忘れ難い。「何故に我が軍団員は己の本分を忘れる者が多いのか」って殆どお前が作ったんだろ!と突っ込みつつ(笑)、所詮悪人に人の心は語る事は出来ないなどと拡大解釈してみると、「ワシは古賀博士に(ロボット作りで)勝った」と曰った帝王の、その哀れな一面がより一層深まってくるのかもしれない、などと思ってみたりも。
ただ哀れとは言ってもそこは悪の帝王、最後まで威厳を失うことはなく。wikiぺのネタバレ情報だとまるで「追い詰められた命乞いに軍団最高の地位を提示」というシーンを想像してしまっていたけれど、実際は全くそんな事はなく、主人公の動力炉の制御回路を破壊し、「動力炉の爆発で地球を巻き込んでしまう」か「機能停止する」かという二択に追い込んだ、その勝利宣言として「我が新生軍団長として作り変えてくれるわ」という台詞があるというものだった。いや何か逆に良い感じに騙されましたよ(笑)。やはりラスボスはこうでなくてはね。
そうこうして主人公メタルダーは満身創痍に陥りつつも、前者の危険を押しながら勝利し、後者の道を選んで劇的な最期を迎えるというものでしたが。まぁ正確には「超エネルギーを失ってただの凡ロボットになる」というもので、「故に人間社会から姿を消す」という結末。ここは単なる悲劇ではなく「いつか帰ってくる」という希望を持たせようという配慮なので、「ロボットのままでもいいじゃん!」とかいう野暮な突っ込みは程々に(笑)。(というか幼少の記憶では普通に死んだ(壊れた)と思い込んでましたよ、、)
しかしここは、ED曲「タイムリミット」の歌詞といい、映像の歩み去っていく1シーンといい、綺麗に繋がってて上手いんだよなぁ。ほんと、37話打ち切りプロットのままだったら単なる月並みエンドだったけれど、最後の+2話で実に良くなってくれた。ジライヤのスケジュールの遅れには感謝しなければなりませんね、ええ(ぉ)。
という感じで、久々に楽しい特撮ヒーロー番組を見させて頂きました。
前に書いたように当時の子供番組というフィルタは張っているので、流石に見たそばから消していっていたけど、見る所だけもう一回見直したいなぁ、と思ってもファミリー劇場だからループしてくれないんだよなぁ畜生(笑)。取り敢えず件の11話は上がってました。(敵側が主役という曰く付きの回なので誤解無きよう)