しかし大当たりのSpaceChemもそこそこに、暇がある時にということで、前々から仲間内で評判の高かった「ゼノブレイド」をプレイ中。噂には聞いていたけど酷い時間食い(笑)。まだ途中だけどクリア後だとまた筆が鈍りそうなので、丁度良い頃合いかなというところで。
これは巨神の骸の上に成り立つ世界というものを舞台にしたRPG。
しかしいわゆるJRPG(=和製RPG)の要素要素に不満と不信ばかりを抱える自分としてはなかなか腰が重く、いざ始めてからもやはりそれらの要素に対する「またか」という憤りもあって、なかなかコメントするに出来ない状況が続いてしまったのが実際のところ。伸ばす所を伸ばしきれないゲームデザインがJRPGの欠点、という話は案の定このゲームにも当てはまる。
ただそれでもプレイを続けた理由は、今作のこれでもかという程のマップデザインにある。基本的にはMMORPGに強い影響を受けたゲームデザインで、同様にしてマップについてもその黎明期から語り草であっただだっ広さを受け継いでおり、それを更に日本のデザイナーが作るとこうなります、と言ったところ。ただ広いだけでなくそこに景観をも詰め込むデザイナー精神。むしろ、3Dマップに美麗なランドマークがあれば好きなだけ回るのに、という要望に愚直な迄に答えまくった結果がこれ。最初のコロニー9でこそ「ただ広いだけ」の印象は拭えなかったものの、次のガウル平原に出た際の開放感が実に素晴らしい。
平原(高原)を抜け丘を登ると眼下に湖が広がり、そこに掛かる橋を渡り階層状の台地に登る、ここまでがワンセットの地形。高台から振り返ればそれまで走り抜けてきた土地が一望できてしまう。エリア単位であれば何処かのゲームにもあるであろう地形を、全て一繋ぎにして尚かつ見渡せるレベルに落とし込んだ、そういうゲーム。そう、「遠くに見える○○にそのまま近付く」、そういうダイナミックな夢を実現したゲームということ。浮遊都市に近寄って下から見上げた時は「成る程なぁ」とつくづく思ったもので。
しかもその「遠くに見える」というのが、よくあるビルボード(書き割り)表現ではなく実際にポリゴンを置いているというのが実に心憎い。シーン限定で遠景が見渡せる演出であればそこかしこにもあろうものを、ここまで「実在」という観念に拘った例はそうそうあるものじゃない。強いて言えば「絵のクオリティを求められないWiiだから出来た」という意見もあるにはある。確かに近景のショボさをここまで割り切ってガクガクの地形で表現することは、今の最新ゲーム機ではおよそ許される話ではないのかもしれない。いやむしろ、そうやって近景のビジュアルクオリティを保ちつつ全体を綺麗に見せる為のマップデザインのパターンというものがあまりに定着してしまい、こういった冒険がなされなくなっていたというのが実情なのかもしれない。
ただ一つ言うなれば、ちょっと「広すぎる」と思うことはある。或いは「必ずしも広さが必要とされている訳ではない」というべきか。この広さ故に味わえるものというのも勿論あるのだけれど、それをもう少しコンパクトに濃縮することも可能ではないかなと。或いは広いままで遊べるゲームデザイン等々。
まぁ正直この会社に出来る事と出来ない事という話は内輪でもしているので、むしろこれに刺激された海外デベロッパーがより良いゲームデザインで素敵マップのゲームを作ってくれないかな、などと思ってしまったり。でもまぁ少なくとも希望は持てたような気がしますよ。