ぼちぼちデジタルお絵描きにも手を付けようということで、名前は聞いていたペイントツールSAIを使ってみた。
なるほどこれはいいかもしれない。
(これまでの画像加工・編集程度では必要とされなかったけれど)、デジタルお絵描きを行うにあたって「こうだと良い、ああだと良い」という観点でもりもり機能・UIが積み上げられている感。いわゆるところの「痒いところに手が届く」操作性。やっぱこういうところはジャパニーズ強いよね、と改めて思わされる。
細かい点はいっぱいあるけれど、直近気になっていた事と絡めて面白いなと思った点をいくつか。全てがSAI独自ってこともないだろうけど、SAIではすぐ分かるところにある機能ということで。
ヘルプも見ずに手探りで操作していた時にたまたま気付いたのがdel/endに振られていた「ビュー回転」機能。絵を傾けた状態で描き込みが出来る。
アナログで絵を描いていると、線を引きやすい方向に紙の向きを変えて描きたい時がある。これがデジタルだとどうなるのかは前から気になっていた。最悪、液晶タブレットごと回転させて描けば可能だけれど、全国全世界の素人含むデジタル絵描きの方々全てが高価な液タブを標準装備なのかと考えると若干おっかない話で。かといってこれまで触れてきた画像編集系アプリでは、加工用の回転機能はあってもビューや入力の観点で回転させて処理する機能というのは見たことがなかった。
ただある程度は色々な向きの線を描けた方が良いし、やっぱりただの甘えなんかなぁ?と思っていたら、SAIではさっくり機能として存在していたと。やはりより良い線を引くにはあっていい機能だと。
それと「複数ビュー」生成機能。同じ絵に対し複数のビューを開ける。
デジタル作業の場合、文明の利器にあやかってズームで作業することがままある、というか常かな。一方で絵はよく全体を俯瞰して確認する必要があるので、その度にズームサイズを変えるのもめんどくさいなと。俯瞰用ビューが横に並べられたらいいのに、と思っていたところのこの機能。
あと軽くウケたのが「鏡像反転」機能。画像加工ではなくこれまたビューの左右反転。
絵描き素人の一つの障害は、絵を左右反転させて見た時の歪み。これを即座に確認できる機能なのですな。
等々。
これだけを見ても、デジタル絵描き屋さんが描く時に欲しいと思った機能を素直に入れてきてるなと思う。こういう使い手の要求に実直なアプリケーション・ツールには大変好感が持てる。
ただこのSAIはドローに特化していて、加工編集用の機能はかなりごっそり抜け落ちている(意図的に)。この辺はもし必要なら余所で補いながら、というのが必要。
まぁ使っていく内にまだ見えてない所も出てくるだろうけど、軽く手触りだけを見ても、GIMPなんぞでへこへこやるよりはこっちに慣れた方がいいなとは思う。有償だけれどせいぜい4桁の額。photoshopとかは高すぎて素人には無理すぎますわ、というレベルにはいいツールなのではなかろうかと。
因みに、前回の時点で課題を残したままだった主線の処理。
元々画像加工の知識は多少はあるので、スキャンした線書きを透明度変換やら二値化(+レベル補正)でゴミを落とすなどの話は分かるけれど、果たしてそれらが一般的なデジタル絵の主線として使えるものになるのかというのは疑問だった。
なので手っ取り早く「描いてみた」系の動画を見て先人に学んでみると、下書きはあくまで下書きであって、改めていわゆるペン入れをデジタル上でし直すと。まぁ「ですよねー」というところですが(笑)。
強いて言うなれば、微妙な濃淡にまみれた鉛筆書きだからこそ難しい話であって、綺麗にペン入れされた絵であればそのまま使えもするものなのかも。それこそくっきりしたデザイン画なら、GIMP等(たぶんphotoshopも)のパス化機能で線をベクタデータにして扱うとかやってるのかもしれない。
ということで、自分は素直にデジタルで線を引き直す方針で進めてみた。
そもそも何故にアナログ絵の利用に拘ったのかというと、自分の中であまりデジタル作業に特化というか依存してしまいたくないところがあり。
デジタルだとundoもバックアップもやり放題、ちょっと場所がずれたと思えば切り取って移動させてみたり、拡大縮小調整など、いくらでも楽が出来てしまう。いやそれが強みなのだけれど、自分のレベルではまだまだ「自力で線を引く」フェーズこそが重要なので、今の内に楽をしては依存にしかならなくなるなと。
なので、まずはアナログで綺麗に仕上げるところまで進めておきたかった。でもアナログで一通り仕上げてしまった後にまたデジタルで引き直すのもというのもつい二度手間に感じてしまう話で。まぁ下書きの段階で出来るだけ綺麗にしておかないと結局後悔するものではあるんですけどね。
そんな訳で、ここいらで今回の成果が晒される、筈だったのですが。
つたない線で主線を引き直して、色を付けて、何とか今月のノルマ(?)に間に合ったなと一息ついた後。思い出したかのようにというか、すっかりうっかり完全に忘れていた「鏡像反転」。
「まー、パッと見なんとか見られるバランスには収めたから、、、」
「:@+?・<>-~¥☆○□!」
そこには絶望という名の地獄が待っておりました。
冷や汗だか脂汗だかがブワッと出て参りましたよ、それはもう盛大に。寝る前の寝間着の襟が濡れて気持ち悪くなるレベルで、、。
元々、平行四辺形の如く右上方向に歪む癖があるのは自覚していたんですが。パッと見は修正できたと思った後でもまだこれだけ歪んでいるのかと。ちょっとした理由で正面画を描くことになってしまったのもまた運の尽き。薄々危険は感じてはいたけれど、ここまで醜態を晒す結果になろうとは。
なんだか前回ドラキーに挑むだの何だの考えていたけど、「これもうドラキーにも勝てないわ」「万一ゴーストなんかに出会ったらフルボッコだわ」「俺は一生スライムベス相手にへこへこやるしかないわ」と。壮絶な迄の凹みっぷり。(※辛うじてスライムベスの線は押さえた模様。尚、FCオリジナル版の難度でお願いします。)
もうね、完全に気分はこれですよ。
「♪立ち直れない結末、くよくーよくよしてみるー」
さて、(雑記の)オチとしてはもう上でいいかなとも思いましたが(笑)。
盛大に凹まされた翌日、改めて何が悪いのか見直してみたところ、
「そもそもこれ元から歪んでるじゃないか」と。
輪郭は頑張ってたりするけれど、パーツの微妙な位置や大きさがそもそもずれている。まぁ「人間なんて左右のバランスは違うもんよ」とはよく言われる話なので適当に流してしまったという甘えもある。
それと、下書きだからと小さく描いたものをそのまま使ったのも問題(何パターンか検討しながらその一つをそのまま使ってしまった)。小さい絵だと微妙なズレは脳内補完で吸収されてしまう。それを引き延ばしたところで初めて誤差が大きな差になると。
たまに話には聞いていたけれど、「絵の練習は大きく描くべき」。誤差を取る学習をするには、小さなサイズで誤魔化しては駄目ですな。改めて思い知らされましたよ。
でまぁ修正点は見えたので直して仕上げたいとは思いますが、ちょっともう今月中は間に合わないと思うので、今回はこれにて。
ただ「出直してきたところでこれかよ」みたいなオチになる恐怖には怯えておりますが。
そもそもの話が、「一度やると決めたものくらいは『せめて』やりきる」という行動理念に対しての結果が出せればいいというのが本音で、わざわざ恥をかくだけのしょっぱい結果までもを人様に見せる必要はあるのだろうか、とは自問自答せずにはいられない年頃です。けーぜろさんじゅうななさい。